ボディ(人台)の選び方

ドレーピング(立体裁断)をするのには、ボディが無いとできません。
ボディは人台(ジンダイ)、トルソーなど呼び方は様々ありますが同じものです。

ボディが欲しいと思って調べると、その種類の多さに驚くと思います。
何が違うのか?何を基準に選べばいいのか?をここでは
一番種類の多い「婦人用」でボディ選びのお話しを進めていきます。



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*一般に市販されているボディのおおまかな種類*


ヤング用、ミス用、ミセス用、シルバー用
左から順番に若い体型になります。
世代別にあるのは年齢によって体型(肉付き)が変わるからです。
若い人のほうがバストポイントやヒップが高い位置にあるのが一般的ですし
腰まわりの肉付きも変わってくるのでボディも違います。
でも若い時と同じ体系を保っている人は、年齢に関係無くヤングボディを使って構いません。

スタンダードボディ
これはヤングかミスに相当します。
ヤングとミスは同じ世代体型に区分されている場合もあります。
両方あったらヤングの方が若い体型だと思ってください。
ヤングのほうが少し細身になっています。

マタニティ用
これは説明を書かなくてもわかりますね。
妊婦さんのお腹とバストになっているボディです。

トール(長身)用
背が高い人は背丈が違うためです。

A体、B体
A体は標準的な肉付き。B体はふくよかな寸法であることを表しています。

パンツボディ
胴体に続いて足の部分があるものか、またはウエストから下だけの足があるボディ。
普通のボディは股が無いので、パンツ(ズボン)を着せられないため専用ボディがあります。

スカートボディ
ウエストから下だけの腰の部分だけのボディです。
普通の胴体のボディで十分なはずなのにこのボディがあるのは
マキシム丈(くるぶし丈)のスカートを作るときも、これだと床に引きずらないのです。

ジャケットボディ
ジャケットの下に何か着た状態での寸法になっているため、少し大きめになっています。

ドレスボディ
イブニングドレスなどを作るためのもので、ウエストを絞ったラインになっています。

全身用
首から足首まであるもので、ボディが支柱に釣り下がった状態になっています。
これ一体あるとトップスからボトムまで出来ますが、値段がかなり高いため
どうしてもこれではなくては困る人以外は選ぶ必要は無いと思います。

付属品
「腕」や「肩」があるものがあります。
ジャケットやコートなどをやるときは「腕」があると便利です。これは自分で作ることもできます。
「肩」は正確には肩先と言うべきでしょうが、ボディの腕の付け根に付けるもので取り外しができます。
袖山にギャザーを入れるデザインや、肩幅の広い服、肩パット入りの場合などに使用します。
肩をセットするとトワルの肩先が安定するので作業がしやすくなりますが、無くても作業はできます。


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*なぜ、ボディは理想的な体型をしているのか?*


その形のボディに着る洋服はきれいなシルエットになるから。
当たり前過ぎの答えですが、これには隠された意味があるのです。
自分と全く同じ寸法を基準に作ることが必ずしも、美しいシルエットの洋服を作ることにはなりません。
「自分に近い寸法で、より良く均衡が取れているように見える設定を探すため」にボディは
理想的な体型をしているのです。


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*同じサイズ(号数)なのに寸法が違うのはなぜ?*


同じサイズなのに、3〜5センチも違うボディがあります。
そんなに違うと「サイズなんてあってないようなもの」と思うかもしれませんが意味があります。
ボディメーカーごとで設定が違う場合や、ヤングとミセスでは同じ9号でも設定寸法が違います。
また、「ゆるみ」がボディに入っているか?入っていないか?の違いだったりします。

ゆるみ入りボディとは、平面製図で原型を○○式で作る時にも「ゆるみ」を入れますよね?
そのゆるみ分がボディに最初から入っているのです。

ゆるみの有り無しに関係なく、背丈はそのサイズの背丈になっています。
バスト寸とヒップ寸だけに目が行きがちですが、他の部分のサイズも確認しましょう。


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*ゆるみ入りとゆるみ無しのボディ。どっちがいい?*


一般的には、布帛しかやらない人はゆるみ入り。ニットをやる人はゆるみ無しが便利と言われています。
それは布帛の場合は最低限のゆるみというのを必ず入れなくてはいけないから。
布帛とニットの両方作る人はゆるみ無し一体でも十分です。


ゆるみ入りは、ドレーピング(立体裁断)するときにゆるみ分量をあれこれ考えなくても、
ゆるみが入ったものが出来上がるので便利です。
テロテロとした生地でブラウスを作りたいときなどはドレーピングがしやすいです。
でも、ゆるみがほとんど不要のピッタリとしたTシャツを作ろうとしてもできません。
ピッタリにドレーピングしても、すでにゆるみが入っている分だけ大きく出来上がるため。

ゆるみ無しは、ピッタリフィットのTシャツもドレーピングで作ることができます。
でも、ゆるみが必要な時は自分でゆるみ分を考えながら作業しないとなりません。

ゆるみが入っていても、デザイン上でもっとゆるみが必要な時は自分で入れます。
なので、ゆるみ入りだったら全くしない作業ではないってこと。
自分が作るアイテムで選ぶといいですよ。


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*9ARって何?*

これはJIS規格の婦人服サイズ表示を使ったものです。
「9」は号数。この場合は9号。
「A」は体型(肉付き)特にヒップを示す。この場合はA体を表し標準的な肉付き。
「R」は身長。この場合は標準的な身長。レギュラーの略。

「9BR」になると、9号のB体(ふくよかな体型)で、標準的な身長。
「9AT」となると、9号のA体で、長身(背が高い人)。Tはトールの略。

このほかに、バスト寸の数字が書かれている場合や
ボディメーカー独自のサイズが書かれているものもありますので
サイズ表を見て確認するのが確実です。


2001/08/20に、JIS規格の成人女性サイズが改正になったので
現在の9号バストは83センチですが、ボディは旧規格の82センチがほとんです。
なぜかと言うと、JIS規格が変わる前からアパレルメーカーでは
82のボディを使ってすでに少し大きめに調整していたから。
82で支障が無いので需要が無い。なので旧サイズのボディが今でも流通しているのです。
単純な理由ですけどね。ちなみにその前の改正は1981年でした。


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*どのボディが9号?*

9号などと書いてあるボディもありますが、書いてないものもあります。
どれが9号がわかれば、それよりも1サイズ小さいのは7号。1サイズ大きいのは11号となります。
では何の寸法を見ればサイズがわかるのかと言うと「バスト」と「ウエスト」です。


ゆるみ入りでは無い場合
バストかウエストのどちらかが満たしている場合、もしくは近いほうが9号に相当します。
ヤング・ミスボディ...[バスト寸=82センチ。もしくはウエスト=60センチ]
ミセスボディ...[バスト寸=82センチ。もしくはウエスト=65センチ]

9号ってウエスト63センチじゃないの?と思いましたか?
ウエストが63センチで9号設定のボディもあります。
でも、ボディというのは人間の体と違って柔軟性が無いので、
ジャスト寸法だとボディに洋服が着れなくなるため、わざとウエストを小さくしてあるものがあります。
ボディのウエストが63センチの場合は、ウエスト64〜65センチのスカートを楽に着せることができます。
(生地の厚みによってウエストベルトの内寸が変わるため、前後があります)
ボディのウエストが60センチの場合は、61から63センチを楽に着せることができます。

つまり、自分が実際に作る型紙上のウエスト寸法より少し小さめのウエストを選ぶと
きちんとそのスカートを着せることができるということです。
ですからボディのウエストというのは、自分の寸法とは違うというこを覚えておきましょう。


ゆるみ入りの場合
ゆるみ入りの場合は「ゆるみ入り」と書かれています。
そして、ゆるみ寸法も書かれているものが多いので、その寸法を引き算すればヌード寸がわかります。
ゆるみ分量はボディの種類によって違うので、必ず確認してくださいね。


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*ボディを選ぶ時の寸法*


ボディの寸法で見るものは、バスト、ウエスト、ヒップ、背丈です。
肩幅はあまり気にしなくていいです。極端に小さいor大きいものは除外するという程度。
他メーカーのボディで探すと寸法が合うボディがある場合もあるので、色々見てみましょうね。


1.最初にバスト寸法を見ます。
「ジャストサイズ」or「マイナス1センチ」or「プラス1センチ」に当てはまるものをチェック。

2.次に(1)のものでウエストとヒップの寸法を見ます。
ウエストは自分がスカートを作る時に、何センチ上がりにしたいかによっても変わります。
(上の「どのボディが9号?」に説明があります)
ウエストの許容範囲は作りたいサイズのプラマイ1〜2センチ。
ヒップ寸の許容範囲はプラマイ2センチ。

3.背丈と肩幅を確認します。

4.当てはまるものが無い場合は、他メーカーを探してみましょう。
ヤング、ミス、ミセス、A体、B体、トール用など用途別になっているボディもチェックします。。

5.付属品(ペダル脚や、腕、肩など)が欲しい場合はあるか確認。


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*ウエストは細いけどバストは大きいなど、寸法差が大きい体型の場合*


バスト、ウエスト、ヒップの各サイズ間で1サイズ違う場合
例えば「バストは11号だけどウエストが9号という場合は
11号ボディで探していけば許容範囲のものが見つかると思います。

逆で「バストは9号だけど、ウエストは11号」という場合は
9号のボディの中でウエストが大きめなのを探すか、
普段からミセスラインの服を着ている人でしたら、そちらも見てみましょう。


2サイズ以上の差がある場合
例えば「バストが7号でウエストやヒップが11号」という場合。
9号で探してみましょう。許容範囲内のものがあります。

逆で「バストが11号だけどウエストが7号」という場合は、ちょっと待ってくださいね。
この場合はボディ選びが難しくなってきます。
すごく微妙なんですが、まずは中間のサイズ(例の場合だと9号)で探してみてください。
1サイズバスト寸が足りない分は型紙のゆるみ展開で補ったり、パットを付けてボディを肉付けできます。
ボディを削ることは出来ないけど、補うことはできるのです。
これで無い場合は、11号で小さめをチェックします。

3サイズ以上差がある場合は、一番大きい部分の1サイズ下をまず探します。

バストが大きい人はヒップも大きい場合が多いですが、大きな部分に合せてしまうと
ウエストがブカブカになってしまい、ボトムが作れないボディになってしまいます。
だからと言ってウエストに合せてしまうと、バストとヒップのゆるみ展開がとても多くなります。
すると型紙の調整がとても大変になるのと、全体のシルエットとしてバランスも悪くなります。
「どうしてボディは理想的な体型をしているの?」でも書きましたが
自分にピッタリの寸法にこだわり過ぎないことも時には大切なのです。

ただし、ボトムは一切作らないです。という場合はバストに合せても構いません。


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*ヤング用の補足・前肩について*


ヤング(ミス)用ボディというのは一番均衡が取れていて、理想的な体型をしています。
なので別名「スタンダードボディ」とも呼ばれます。

その中で更にヤング用には、少し前肩(肩先が前に回っている状態)になっているものもあります。

これは最近の若い人に多い体型であるのと、若い人は肩の周りにも肉が少ないので、
骨格がそのままシルエットに出やすいため。
年齢を重ねると、肩にも多少肉が付いてくるので、加年齢のボディでは前肩のものは少ないです。
(わたしが知っている限りでは加年齢のものでは無いと思いますが、今度出てくるかもしれません)

ヤング用のは使えない体型だけど、前肩の人はどうするのか?
ボディの肩線を入れな直せば大丈夫です。
ボディには縫い目があり、肩の縫い目が肩線でもあるのですが、
これを無視して、新しい肩線を自分で決めればいいのです。
N.P(ネックポイント)は変えずに、肩先の位置を前にずらす作業になります。
1.0センチが限度ですが、これをすると肩線の落ち着きが良くなります。
どれくらいの傾斜にするかは各個人によって違います。


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*ライン入りのボディは便利?*


ライン入りのボディにはたくさんのラインが入っています。
でも実際に作業したときに、ボディの縫い目を見れば済むことが多いです。
なので、絶対にライン入りがお勧めです!とは言いませんが
ライン入りが好きで使う人もいるので、最後は好みだと思います。

ただし、ライン入りボディは種類が少ないのでボディを選べなくなります。
それだったら、欲しい体型のものを優先してライン無しのほうがずっといいです。

最低限必要なのは「前中心、肩線、ウエスト、ヒップ」です。
これらのラインを自分で入れれば済むこと。
脇線は入れる人もいるし、入れない人もいます(わたしは入れてますけど)。

背中はわりと平たんなのでボディの縫い目もほぼ垂直です。
ですから縫い目を目安にしても、そんなにずれることがありません。
(安過ぎるボディだとゆがんでることがあるので要注意)


「ライン入りボディが自分の体型にピッタリ」の場合は、購入候補に上げてもいいと思いますが
自分の体型に合わないからと言って嘆くほどでは無いということです。
体型に合う場合で、ラインを自分で入れるのが面倒だと思う人には便利だと思います。


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*ラインを自分で入れるには?*

約5ミリ巾の綿素材のテープを返し縫いして付けるのが正しいやり方です。
必ず濃色を使います。赤か黒。
実際にやってみるとわかることですがけっこう大変な作業です。
ウエスト、ヒップ、肩線はやりやすいですが、バストラインや前中心線はかなり苦戦します。

裏技程度に参考にまで。1ミリ〜3ミリの粘着テープ(商品名:ボディライン)を使うという方法もあります。
これは剥がれてくるので時々貼り直しが必要なため、どうしても大変な場所だけにしておいたほうが
後々の作業としては楽になります。テープを貼りなおすだけでもけっこう面倒なものですから。

:::手順:::
金尺、直角定規、メジャーを用意します。
1.前中心に定規を当てて、床に対して垂直にラインを入れます。
2.床上がり寸法に平行線(バスト、ウエスト、ヒップ)を入れます。
3.最後に肩線を入れます。

文化式など右身頃を作る場合は
テープの「剥ぎ部分」が左脇の少し後ろ寄りに来るようにして、最後は折り込みます。
ドレメ式など左身頃を作る場合は、右脇側に剥ぎ目が来るようにします。


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*ペダルの付いた脚付きって便利?*


便利かと聞かれたら、便利ですよ♪と答えますが、無くても作業はできます。
値段が高いので、予算的に余裕がある人は検討するといいと思います。


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*なぜ値段がこんなに違うの?*


ペダルの脚が無いもので比べても、似ているのに値段が色々あります。
ボディに中身に使われている素材の違いであったり
ボディの表面に使われている生地の違いであったり
特殊なボディなので値段が高い場合もあります。

あまりに安いボディは縫い目がゆがんでいたり、昔の体型基準のものも時にはあります。
「安物買いの銭失い」にならないよう、しっかりしたいいものを選びましょう。

目安としては定価で約15000円(税込み)以上するボディはちゃんとしているものが多いです。
3万円以上出せるのだったら、工業用ボディが選択肢に入ってきます。


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*工業用ボディは何が違う?*

一番違うのは「耐久性」ではないでしょうか。
趣味で使うのとは比べ物にならない使い方をするため、それなりの素材が使われています。
ボディの縫い目もとてもキレイだとわたしは感じます。他には種類の多さでしょうか。
でも値段に見合った価値はあるけど、そこまで高いものを買わなくてもきれいな形をしたボディはあります。


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*チェックポイントのまとめ*


1.自分のヌード寸法(下着を着けた状態)で、バスト、ウエスト、ヒップ、背丈、肩幅を測る。
2.スタンダードボディで自分の寸法に近いものがあるかを見る。最初は安いのから見ましょう。
3.ゆるみ入りか?ゆるみ無しか?を確認。

4.サイズが無い場合は工業用も見てみる。最近、若い人の服がキツイと感じる場合はミセスボディ。
全然平気な人はヤングかミスボディ。長身の人はトールボディ。
5.ゆるみ入りか?ゆるみ無しか?を確認。

6.工業用なんて高くて買えないわ!と思ったら、スタンダードボディにもう一度戻る。
既製服を買うときを思い出してください。どこの部分のサイズに悩みがありますか?
そして、何サイズの洋服を買うことが多いですか?それの何に問題を感じますか?
ボディ選びも洋服選びと同じです。




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どのボディがお勧めです。とはわたしには言えません。
それは人によって必要とするボディが違うから。
バストが大きくて羨ましい!と思う人もいれば、大きくて困ってます・・・という人もいますよね?
ボディ選びも同じことが言えます。
体型の何を強調し、何をカバーしたいのか?によって選び方が変わってくるのです。

ここを読んでからボディを探したとき、前とは違うものが見えるようになっていますように…


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