ミシンの押え金の圧力のはなし・・・FAQ集

縫うと生地がベロベロと伸びてしまったり、下の生地だけすごく送られてしまう原因

扱いやすい生地を縫っているときや、直線しか縫ってないときには気づかないかもしれません。

布帛でもバイヤス裁ちしたものを縫う時やニット生地を縫う時に、
生地がベロベロと伸びてしまう経験がありますか?

また、ミシンの構造上、下の生地だけ先に送られやすいのは仕方ないのですが、
あまりにも下だけ送られてしまい、脇線が何センチも合わないという経験はありますか?

『YES』とお答えの人は是非読んでみてください。
どんな生地でも縫える人には不要なおはなしです。
特にお仕事で縫っている人には当てはまらない調整の仕方だと思いますので飛ばしてください。



<あなたのミシンは圧力を調整できますか?>
普通のミシンは押え金の圧力を調整できます。
すごく安価なミシンの一部でできない機種があるようですが、
洋服を縫うのにはこのようなミシンは使ってはいけません。
洋裁が少しずつ上手になってくると、もう少し凝ったデザインの服も縫いたくなるでしょう。
その時に綺麗に縫えないミシンではミシンの買い替えに迫られるからです。
高級なミシンを使う必要もないですが、最低限の機能を持ったミシンを使いましょうね。



<どこで調整するの?>
ミシンによって場所が違います。下図以外の場合はお持ちのミシン説明書で確認してください。

昔のミシンは左図のピンク色の部分にありました。押さえ金軸の真上の位置です。
でも最近のミシンはレバー式などになっていて他の場所についていることが多く、
機種ごとに調整方法も変わってきます。ミシンの説明書をよく確認してください。

昔懐かしい『バネ式』
「1」を押すと圧力が強くなります。戻すときは根元の「2」を押すとポンと戻ります。

ロックミシンなどに見られる『ねじ式』
右回転で強く、左回転で弱くなります。



<たまには触りましょう>
ブロードなどのごく普通の厚みの生地しか縫ったことが無い人は触ったことがないかもしれません。
でもたまに触ってあげないと中に入っているのバネの反応が鈍くなります。
思い出した時でいいので触ってあげましょう。

1.一番下まで下げます(圧力を強くする)。
2.一番上まで上げます(圧力を弱くする)。
3.真ん中に戻しておきます。

ちなみに、一番下まで下げた状態で長期間放置してはいけません。段々とバネが効かなくなります。



<圧力を真ん中に設定する>
ミシンの説明書にも書いてありますが、
真ん中は「普通程度の厚みの生地」を縫うのに丁度良い圧力とされています。

でも、押え金の圧力というのはバネの力を利用しています。
新しいミシンではバネの反応が良いので、ほんの少し調整するだけで圧力がかなり変わることがあります。
また長く使っているミシンではバネが弱くなっていて反応が鈍くなっていたり、
送り金が磨耗している場合がありこれも影響してきます。
ですから『真ん中=普通程度の厚み』とは限らないのです。



<普通程度の厚みの生地って何?>
『綿ブロードを2〜3枚重ねた厚み』が普通の厚みと考えていいと思います。
こう考えると、インテリア・ファブリックを使って縫う場合は少し厚手の生地を縫うことになります。
ジーンズは?はい、もちろん厚手になります。



<圧力を変えて縫ってみる>
自分のミシンの圧力はどれくらいが最適なのか実際に縫ってみるのが一番です。
はぎれで構いませんのでブロード程度の布帛を二枚重ねにして縫ってみます。

圧力を色々と変えてみましょう。

1.まずは真ん中で縫う。
2.更に少し強くして縫う。
3.もうちょっと強くして縫う。
4.これ以上強くしたら縫い目汚くなるところを知る。
5.真ん中に戻し、少し弱くして縫う。
6.もう少し弱くして縫う。
7.これ以上弱くしたら縫い目が汚くなるところを知る。


この実験はけっこう面白いと思います。
真ん中より前後しても縫えるからです。そういうものだと認識することが大切で、
この微妙な前後差が後でとても重要になってきます。



<押え金と送り歯の関係>
『圧力を弱く=薄手の生地』、『圧力を強く=厚手の生地』というのが通説です。
ミシンの説明書にも書いてあります。

でも、待ってください。この考え方は一度消し去ってください。

押え金の圧力はどうして変えるのか?これが大切なのです。
ミシンには『送り歯』というギザギザの金属が付いています。
この送り歯に生地が引っかかり初めて生地が送られます。

この送り歯に引っ掛ける役目が押え金の役割です。
上から押し付けて引っ掛けてくれてるから、送り歯に乗って生地が進むのです。


最近のミシンは送り歯に工夫があり、送り歯が長かったり、送り歯の数が多いものもあります。
これらの工夫により生地の送りがかなりスムーズになりますが万能ではありませんので、
頼りすぎずに圧力も調整してみましょう。



<圧力を強くするor弱くする>
薄手の生地の場合は繊細なものが多いため、圧力が強いと?
生地が送り歯に引っかかり過ぎて、傷だらけになったり、生地が送り歯に食い込んだりしまいます。
だから弱めにするのです。

厚手の生地の場合は織られている布の繊維が太いため、圧力が弱いと?
生地の表面だけを送り歯が滑って生地が進んでくれません。だから強めにするのです。

また、押さえ金の圧力調整における「厚手or薄手」というのは、
『生地そのものの厚み』は当然のことですが『送り歯に引っかかりやすい生地(表面)か』でもあります。

あくまでも送り歯に引っ掛けるための押え金の圧力調整です。
薄手の生地でも、圧力真ん中で綺麗に縫えるのでしたら圧力を弱くする必要はありません。
また厚手の生地でも同じことが言えます。



<生地をセットするたびに、圧力を確認するクセを付ける>
ミシンに生地をセットししたら、まず押え金の圧力を確認します。
薄手の場合はそんなに差は無いですが、
生地が一重のとき、二重のとき、三重のとき、それぞれで圧力を変える必要があることを認識します。

伸びることが多くて困っている人は、少しいつもよりも圧力を弱めにしてみてください。
<圧力を変えて縫ってみる>でやってみましたね?少しくらい弱くしても縫えるものなのです。


これらを踏まえて、生地がベロベロと伸びてしまうのはどうして?
答えは『強く引っ張った状態で縫っているから』です。
ということは、押え金の圧力が強すぎるから生地が伸びて縫い上がったということを意味しています。
巻きロック始末をするときに圧力を強くすると綺麗にフリフリになるのは、この原理を使っています。


下の生地だけどんどん進んでしまうのはどうして?
答えは『送り歯がとてもよく引っかかっているけれど、それは下の生地だけの話。
上の生地は押さえ金に押さえつけられて進めないから』です。
またこの場合は、押さえ金を滑りの良いテフロン素材に変えると改善されますが、
その前に押さえ金の圧力を調整してみてはいかがでしょうか?
お金を掛けずにしてできることです。それでもダメだったらそれから買い換えても遅くないです。

でも、押さえ金の圧力を調整しても伸びやすいのがバイヤス部分を縫う時です。
これは縫製技術を磨けば縫えるようになりますが、苦手な人も多いでしょう。
テフロンに変えるだけでかなり綺麗に縫えるのは事実です。今までの苦労な何だったの?と思うでしょう。
圧力調整を理解した上でテフロン押さえ金を使えば、更にもっと楽に綺麗に縫えるようになります。

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さて、話を戻します。



<厚手の生地やニットのときはご注意を>
何でもかんでも『生地が厚い=圧力を強くする』という考えは捨てましょう
生地が押さえ金の隙間に入るギリギリの厚みがあるとしましょう。
この状態で圧力を最大にしたら?生地は苦しいです。押しつぶされて身動きが取れません。
かなり生地の表面が硬いデニムでしたら縫えるでしょうが、柔らかい生地の場合は伸びてしまいます。

厚手の生地でも生地の織り方や使っている繊維によって、
送り歯に引っかかりやすい生地と引っかかりにくい生地とがあります。
引っかかりやすい生地の場合は、押え金の圧力は強くなくても縫い進みますし、
強くすることにより縫い上がりが汚くなるものもあります。
もちろん強くしたほうが綺麗に縫える場合もありますので、様子を見て調整しましょう。


ニット生地は伸びる性質を持っています。2wayは特に伸びやすいです。
布帛を縫う時よりも、最初から少し圧力を弱めにする習慣を付けるといいと思います。



<押え金の役割>
押え金がゆるゆるだと生地が動いて、ミシンで縫うどころではありません。
でも、生地というのは伸びたり動いたりします。

生地が動くとは...
正方形の生地の対角の角を持って引っ張るとひし形に変形したり、
生地を持ったまま、右手を向こうへ動かしたときに左手を手前に動かすと更に生地は変形します。
この時の繊維の状態を「生地が動く」と言います。

押え金の圧力が強すぎるとこの「生地が動く」の現象が起きやすくなり綺麗に縫えないのです。


「適度にほど良い圧力で生地を押さえて、送り歯に生地を引っ掛けてあげる」
というのがベストの調整になります。



<どれくらいの圧力で縫ったら最適か?>
これはミシンごとによっても違いますし、ミシンを使う人の縫い方によっても多少変わってきます。

縫い方の違いとは...
ピンなしで縫う人は、生地の向こう端と手前を持って軽く引っ張った状態で縫います。
しつけをして、またはピンありで縫う人は、たぶんそんなに引っ張って縫うことは無いでしょう。
この時の生地を引っ張る加減によっても、押さえ金の圧力が微妙に変わってくきます。
引っ張りながら縫う場合は少し圧力を強めにしていないと生地がずれてしまいますので。
そういった意味で縫い方によっても圧力調整は変わってくるのです。


上の実験をやってみましたか?
そんなに無理矢理生地を押さえつけて送らなくても、生地は送られていきます。
綺麗に縫えないと悩んでいる人は、一度ミシンと向き合って自分のミシンの特徴を知るといいです。

ほど良い圧力とは...
『生地の厚み分まで押え金を下ろし、送り歯に引っ掛けるために更に少し下ろす(押さえつける)状態』です。
この時の状態を言葉にすると「押さえ金を下ろした時に押さえ金が生地に少し沈む」状態となります。
薄手のブラウス生地などで薄い毛羽立ってない生地は沈みがあまり見られませんが、
多くの生地では沈みの状態が見られるのでよく観察してみましょう。




わたしいはよくシーチングでトワルを縫いますが、その時の押さえ金の圧力調整は、
通常でしたら「真ん中」とするところをそれより弱くして縫っています。生地の送りが良くなるからです。
バイヤスの部分を縫っても伸びることはまずないです。
一度ミシンの特徴を掴めれば、この生地だとこれくらいかな?とわかるようになってきます。
私の場合は押さえ金を下ろした瞬間の手の感触でわかります。

ミシンとの対話が綺麗に縫えるようになる一歩であることを忘れずに。



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