立体裁断(ドレーピング)について・・・FAQ集

5. 袖山の高さと袖巾の決め方

ひとつの袖ぐりに対して色々な袖を付けることができます。
エレガントで激しい動きはしない場合(ドレスやジャケットなど)は腕を下ろした状態に近くして作ります。
腕を肩から真横へ上げた状態に近い袖ほど動きやすい袖になります。

この袖の違いは袖山の高さと袖巾によって変わります。

袖傾斜とは
腕を真っ直ぐに下ろした状態を「ゼロ」として、腕を真横へ上げていく角度のことです。


<二つの画像の解説>
画像の青い線が袖山の高さです。
45度の袖のほうが長いのがわかりますか?つまり袖山の高さが高くなるということです。
緑色の線は袖巾になり袖山が高いほうが袖巾が狭くなります。

エレガントな袖というのは袖傾斜が40〜45度くらいのものを言い、これが最低角度の袖になります。
袖傾斜がゼロの袖というのは腕が全く上がらない袖でもあるため、最低限これくらいは腕を動かせないと・・・
というところから出された角度が40〜45度なのです。これにより腕の運動量が生まれます。
ただしストレッチ素材を使う場合は変わります。



<袖傾斜が大きい袖>
最高角度は90度になります。真上に万歳する状態の180度ではありません。
袖傾斜を90度で作ると、腕を真上に上げるだけのゆとりも生まれるからです。
また、90度に近くなればなるほど脇線での袖ぐりポイントを下げなくてはいけません(次の画像)。
シャツ袖(ドロップショルダー)と言われるものがこれにあたります。
シャツ袖は袖巾が広くなるため、身頃が細くて袖だけ太いのは見た目に変ですから肩幅や身幅も広く作ります。
90度の袖が一番袖山が低く、袖巾が広い袖になります。



<袖ぐりと袖山の高さが決まると袖巾がわかる>
トワルをボディに着せます(ボディが無いとこの作業はできません)。
定規を2本用意して、上の画像の線と同じ状態をトワルに再現します。
1本の定規で袖傾斜を作り、それに対して90度になるようにもう一本の定規を添えて袖巾とします。
(袖巾の定規は袖ぐりの一番下、つまり脇線の一番上を基点とします。)
これで袖山の高さが大まかにわかります。

青い線がショルダーポイントより少し上から始まっているのは袖付け時の上乗り分(厚み分)です。
肩パットを入れる場合はそれに合せて更に上から始まることになります。
シャツ袖で袖傾斜が大きい場合はショルダーポイントからでも構いません。

緑色の線は袖巾を表しているのですが、腕が入るのには袖が筒になるように厚み分が必要になりますので
平面操作で袖巾を決めたほうが早くできます。

後身頃の袖ぐりと前身頃の袖ぐりの寸法で三角形を作ります(赤い線)。
この三角形を作る時に
袖山に「いせ」が入る場合は袖ぐり寸法と同じか少し短くします。
袖山に「伸ばし」が入る場合は袖ぐり寸法に対して約0.8〜0.9倍にします(更に短くなるということ)。
これで袖巾が決まります。



<かま巾について>
赤い斜線の部分が『袖のかま』で、お釜のような形をしているからそう呼ばれます。
青い丸は前後の腕の付け根位置辺りになります。つまりこれより下はわきの下です。
二つの青い丸をつなげた直線が『かま巾』になります。

かま巾が決まれば袖巾も決まるのですが、更に袖の厚み分を考えないとならないため
この原理からの袖作りは難しくなります。ですから言葉だけ覚えておくだけでも十分だと思います。
立体裁断ができるようになると、かま位置の意味も自然とわかるようになってきます。



<布帛の場合>
ここまではわかりやすいようにニットのトワルで説明したので布帛の画像も載せておきます。
画像のようにピンを使って袖ぐりをボディに固定すると袖山の高さが決めやすくなります。

。。。おまけ。。。
横に引いた線がかま巾になります。前身頃のほうが少し上になります。
前後のかまの位置から下へ延長線を引くと袖の形が想像できます。



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